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「ライフプランを実現させよう」(3)
「保険の種類を把握しよう」

株式会社フェリーチェプラン代表取締役
田中香津奈

( 2009/12/15 )

保険って複雑ですよね?

 保険がとても複雑に見えるのは、「主契約」にたくさんの「特約」が付加されている保険商品が多いからです。保険商品はすべて、主契約のみ、あるいは主契約と特約のセットで成り立っているので、保険を理解するためには、この2つを区別して考えるとすっきりします。

 主契約は、保険の基礎となる部分で、1保険商品につき1つと決まっています。保険に加入すると、保険証券が自宅に送られてきます。保険証券は1主契約ごとに発行されるので、手元に2枚あれば2つの主契約があり、4枚あれば4つの主契約があることを意味します。(図参照)

 特約は、主契約とセットでしか契約できません。主契約の保障内容を充実させるのが目的で、主契約に複数付加することができます。主契約が満期・解約などによって消滅すると、特約の保障も同時に消滅するという特徴があります。

主契約、特約のパターン例
主契約、特約のパターン例 田中香津奈写真

代表的な保険にはどんな種類があるの?

 保険商品を選ぶには、まず「自分が備えておきたい経済的なリスクは何か?」ということをはっきりさせることです。人生で自分や家族が直面する代表的な経済的リスクは主に4つあります。

 それは「一家の大黒柱が死ぬことで収入が途絶える」「病気やけがの医療費が不足する」「介護にかかる費用が必要となる」「老後の生活費が不足する」で、それを補うのが「死亡保障」「医療保障」「介護保障」「老後保障」です。(表参照)

 だからまず、検討している保険商品で、自分が必要とする保障をきちんとカバーできるのかどうかを確認することが大切です。

 生命保険という名称から、死亡したときに備える「死亡保障」のイメージが強くなりがちですが、平均寿命が女性86歳、男性79歳と高齢化が進むわが国では、「死んだときに発生する経済的リスク」同様に「長生きしたときに発生する経済的リスク」に備える保険商品のニーズが高まっています。「高齢化に伴う病気やけがの治療費」をはじめ、「要介護者になったときに必要な費用」「老後の生活資金」などを対象とするものです。

 「4つの保障」は、保険でバランスよく備えることが理想ですが、まずは、「死んだときに発生する経済的リスク」に備える「死亡保険」と「長生きしたときに発生する経済的リスク」のなかでも、特にニーズの高い「医療保険」から検討してみることをお薦めします。

4つの保障の主な具体例
4つの保障の主な具体例

「死亡保険」ってどんなもの?

 死亡保険というのは、自分が万一死んだ場合に、遺族などがもらうものなので、自分自身がもらうものではありません。自分が亡くなった後のことをイメージしてみて、経済的に困る人がいないようであれば、高額な死亡保険金は必要なく、葬儀やお墓にかかる費用程度の保障で十分でしょう。この場合、一生涯保障が続く「終身保険」が適しています。

 もっと大きな死亡保障を必要とする人の代表は、小さい子供がいる一家の“大黒柱”、つまり家計の中心となる稼ぎ手です。この場合、安い保険料で高額な保障を得ることができる商品の一つに、「定期保険」の一種、「収入保障保険」と呼ばれる保険商品があります。

 保険の対象者が死んだ場合に、遺族は、まとまった保険金を一度にもらうのではなく、毎月規定の額を分割してもらうことができます。そこでこの保険は『天国から給与袋を届けてくれる保険』などと呼ばれることがあります。

「死亡保険」は遺族のための保障

「医療保険」を検討する場合、まず考えることは?

 医療保険というのは、病気やけがで入院・手術をした場合に発生する費用に備える保険のことで、こちらは自分自身がもらう保険です。わが国では、「国民皆保険(こくみんかいほけん)」といって、公的な医療保険制度が比較的充実しています。そこでまずは公的医療保険の特徴をしっかりと把握したうえで、民間の医療保険商品を検討するのがよいでしょう。

 日本の公的な医療保険では、健康保険から治療費への給付があり、自己負担は原則3割(3歳〜69歳)となります。またその自己負担分も、1カ月の支払いが一定額以上になると、超過分を返してもらえる「高額療養費制度」もあります。

 ただし高額療養費制度が適用されるのは、あくまで「保険診療」の範囲内で、「先進医療の技術料」や「差額ベッド代」「入院時食事代の一部負担」などには適用されません。通常の治療法や、大部屋での入院であれば、自己負担額は少なくてすみますが、特定の医療施設でしか受けられない先進医療や、個室での療養を望む場合などは、高額な医療費となるケースがあります。

 また、公的な医療保険制度は、今後改定されるリスクがあることも知っておかなければなりません。少子高齢化が進む日本においては、現行の制度を維持することは難しく、自己負担の割合は、増えることはあっても、減ることはないだろうと予測できます。

「医療保険」は病気やけがへの備え

「医療保険」ってどんなものがあるの?

 こうした公的な医療保険の性質を把握したうえで、さらに充実した備えを希望する人が加入する民間の医療保険は、主なものに「(一般的な)医療保険」「3大疾病保険」「がん保険」「傷害保険」などがあります(表参照)。これらは主契約となる商品として用意されていたり、別の保険の特約として提供されたり、タイプは保険会社によって様々です。近年注目されている「先進医療特約」は、先進医療を受けることになった場合、公的な保険の対象外である「先進技術」にかかる費用をカバーする特約です。

 経済的な理由で、希望する治療が受けられないということは避けたいものです。そのためにも医療保険を検討する際は、現在の状況だけでなく、未来のことも十分に考慮するべきでしょう。

 医療保険の加入者で、「加入後、病気やけががなかったから損をしてしまった」とおっしゃる方がいます。しかしそれはあくまでも結果論にすぎません。万が一、その間、けがや病気で手術や入院をしていたら、給付金がでていたのです。「あの時入っとけばよかった・・」と後悔しないために、保険が『晴れた日に傘を買うようなもの』であることだけ、最後にもう一度お伝えしておきたいと思います。

主な医療保険
主な医療保険 それぞれの医療保険の対象
それぞれの医療保険の対象
田中香津奈写真

田中香津奈(たなか・かづな)

株式会社フェリーチェプラン代表取締役
ファイナンシャルプランナー/住宅ローンアドバイザー/きき酒師

外資系生命保険会社退職後、ファイナンシャルプランナーの資格を取得。2005年フェリーチェプラン設立。「攻めのお金」と「守りのお金」という視点での、独自のマネー解説は分かりやすいと好評。保険、投資、不動産、クレジットカード、電子マネーと幅広い分野に精通し、テレビ出演や新聞・雑誌への執筆多数。著書に『晴れた日に傘を買う人はお金が貯まる』(扶桑社)がある。日本酒にも造詣が深く「きき酒師」の資格も持つ。
<公式サイト:http://www.fp-kazuna.com

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