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気になる医療・トクする情報(11)
保険薬局100%活用術③
薬剤費が安くなるジェネリック医薬品

医療ライター
渡辺千鶴

( 2011/03/28 )

「新薬」と「ジェネリック医薬品」の違いとは

 糖尿病と高血圧症の治療のために2週間に1回、定期通院しているN子さん(68歳)は、6種類の薬剤を服用しています。薬を飲み続けて7年――。薬剤費の自己負担分だけでも月に4000円余りかかり、年間にすると約5万円の出費です。年金暮らしのN子さんは、もう少し薬剤費が安くならないかと思っています。

 薬を飲み続けなければならない患者さんにとって、長期になればなるほど、薬剤費の自己負担は大きくなってきます。特にN子さんのように年金暮らしなのに医療費の自己負担は3割という70歳未満の高齢者の負担感が増しているようです。

 さて、医師が処方する医薬品の中には「新薬(先発医薬品)」と「ジェネリック医薬品(後発医薬品)」の2種類があることをご存知でしょうか。

 新薬は、特許を出願してから20〜25年は開発した製薬企業が独占的に製造・販売することが認められています。しかし、安全性などを確認する再審査期間が終了し、特許も切れると、ほかの製薬企業も同じ有効成分で薬剤を製造・販売することができます。これが「ジェネリック医薬品」と呼ばれるものです。

 ジェネリック医薬品は、新薬に比べて開発期間が短く、コストも大幅に抑えられるため、新薬の2〜7割に価格が設定されています。ジェネリック医薬品を使用すると、薬剤費の自己負担がどのくらい安くなるのかは薬剤によって異なりますが、一般的には新薬より3〜5割安くなるといわれています。

薬剤師に相談すればジェネリック医薬品に変更できる

 欧米では1980年代からジェネリック医薬品の品質保証や安定供給など、患者や医療者が安心して使える体制や環境づくりを行ってきました。そのため、ジェネリック医薬品が普及しています。08年のデータによれば、全医薬品に占めるジェネリック医薬品の使用割合は、米国、カナダ、ドイツ、イギリスではすでに60%を超えています。それに対し、日本ではわずか20%足らずです。

 この背景には、ジェネリック医薬品に対する医療者の信頼性が高くないことが挙げられます。そこで、医療費を抑制する観点からジェネリック医薬品の普及をめざす厚生労働省では、07年10月に「後発医薬品の安心使用促進アクションプログラム」を策定し、欧米のように患者や医療者が安心してジェネリック医薬品を使用できる体制や環境づくりに取り組んでいます。

 同時に、公的医療保険制度上でもジェネリック医薬品の使用を促すさまざまな施策を打ち出してきました。処方せんの様式を変更し、薬剤を処方する医師のジェネリック医薬品に対する意思を明確に示すことによって、患者や薬剤師がジェネリック医薬品への変更を行いやすくするなどの対応を行ってきました。

 さらに「後発医薬品への変更不可」欄に処方医の署名がない処方せんについては、処方医にあらためて確認しなくても、患者と薬剤師が相談して新薬からジェネリック医薬品に、しかも剤型や規格違いの薬剤にも変更できるようになりました。

ジェネリックに変更した場合の価格を試算してみよう

 では、現在飲んでいる薬をジェネリック医薬品に変更したいときは、どうすればよいのでしょうか。

 一般的にはN子さんのように長期間の服用が必要になる薬ほど、ジェネリック医薬品に変更したときの経済的なメリットは大きくなります。しかし、薬によっては新薬とそれほど価格差がなかったり、新薬より価格が高かったりすることもあります。また、ジェネリック医薬品そのものがない場合もあります。

 担当医の治療方針によっては新薬を使いたいということもあるため、まずはかかりつけの医師に相談してみましょう。あるいは、保険薬局の薬剤師に相談し、現在飲んでいる薬にはジェネリック医薬品があるのかどうか、ある場合はどの薬剤に変更すると、どのくらい安くなるのかを試算してもらうのもよいでしょう。

 日本ジェネリック製薬協会が運営するサイトの中にある「かんたん差額計算」を利用すると、現在飲んでいる薬をジェネリック医薬品に変更したときの薬剤費を自分で計算することもできます。

 ただし、価格にこだわりすぎて薬の効き目は今ひとつ、といった状態になると本末転倒です。薬の効果についても医師や薬剤師とよく相談し、病気を確実に治してくれるジェネリック医薬品を選びたいものです。


表1●先発医薬品をジェネリック医薬品に変更した場合の価格差
(糖尿病薬と高血圧症薬を服用するN子さんのケース)

先発医薬品をジェネリック医薬品に変更した場合の価格差(糖尿病薬と高血圧症薬を服用するN子さんのケース)

糖尿病と高血圧症で6種類の薬剤を服用するN子さんの場合、そのうちの5種類が先発医薬品で、ジェネリック医薬品に変更できるものは2種類だった
差額を計算してみたところ、ジェネリック医薬品に変更すると年間の自己負担額は1423〜4248円安くなる


※上記の表は、公開されている薬価などを参考にしたり、日本ジェネリック製薬協会「かんたん差額計算」を利用しながら、筆者が算出しました。
金額は薬剤費のみを計算しています。この金額は目安であり、患者さんが薬局の窓口で支払う自己負担金には、薬剤費のほか調剤基本料なども含まれますので、実際に支払う金額とは異なります。

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渡辺千鶴(わたなべ・ちづる)

医療ライター

愛媛県生まれ。京都女子大学卒業。医療系出版社を経て、フリーランスに。医療・看護・介護分野を中心に編集・執筆に携わる。共著に『日本全国病院<実力度>ランキング』『知っておきたい病気の値段のカラクリ』(共に宝島社刊)『がん—命を託せる名医』(世界文化社刊)などがある。東京大学医療政策人材養成講座1期生。現在、総合女性誌『家庭画報』で「希望をつなぐ先端医療」を連載中。

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