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気になる医療・トクする情報(12)
リハビリ制度100%活用術①
リハビリテーション制度を上手に活用しよう!

医療ライター
渡辺千鶴

( 2011/04/26 )

リハビリテーションの役割と目的とは?

 皆さんの中には「リハビリテーション(以下、リハビリ)」という言葉を聞いたことはあるけれど、どのようなことが行われているのかよく知らないという人もいるでしょう。例えば、脳卒中を発症すると、麻痺や言語障害などの後遺症が残ることがあります。そのような機能障害に対して行われる治療や医療がリハビリです。

 リハビリの治療では、障害を受けた機能ができるだけ元通りになるように、さまざまな訓練が行われます。しかし、病気やケガの程度によっては回復に限界があるため、訓練と同時に残った機能を補う工夫も行われています。

 脳卒中の麻痺により右手が使えない場合は左手で字が書けるようにしたり、介護用スプーンを使って自分で食事が摂れるようにしたりするなど、残った機能や補助具を活用しながら、患者ができるだけ自立した日常生活が送れるように支援していきます。このサポートの中には、手すりをつけたり段差をなくしたりする環境整備も含まれます。

回復期リハビリテーション病棟や外来リハビリで継続的に治療を提供

 このようなリハビリの治療や医療を十分に提供する場として、2000年度に「回復期リハビリテーション病棟」制度が新設されました。この病棟には病気やケガの治療を終えた患者が急性期病棟から移ってきて、日常生活の自立や社会復帰に向けて、さまざまなリハビリに取り組んでいます。

 全国回復期リハビリテーション病棟連絡協議会の調査によると、11年3月現在、回復期リハビリテーション病棟がある病院は全国で1088施設(約6万床)あります。しかし、急性期病院の入院期間が短くなる中、回復期リハビリテーション病棟の数はまだまだ足りないといわれています。

 また、回復あるいは獲得した機能を維持するためには継続的にリハビリを受けることが重要です。その際に利用したいのが外来(通院)リハビリです。公的介護保険でも通所リハビリ(デイケア)や訪問リハビリのサービスが受けられます。

早期リハビリに取り組み、寝たきりを予防

 一方、脳卒中や骨折などの病気やケガの後遺症に対する治療に止まらず、障害の予防においてもリハビリの役割は大いに注目されています。以前は、体に大きな負担をかける治療や手術を受けた場合、「安静第一」とされていましたが、体を動かさない状態が続くと、手足の筋肉が衰える、関節が硬くなる、体力が低下するなど「廃用症候群」と呼ばれる、さまざまな障害を来たします。とくに高齢者にとっては寝たきりの原因になることもたくさんあります。

 そこで、多くの急性期病院では体の機能が低下しないように早い時期から適切なリハビリが行われるようになりました。たとえば開腹手術の場合でも、術後の経過が順調であれば手術翌日から歩行訓練が行われます。

 また、近年は脳疾患や整形外科疾患などの従来の分野に加え、呼吸器疾患、循環器疾患、腎疾患、がん、移植医療などにもリハビリの対象が広がっています。


脳卒中診療におけるリハビリの流れと目的
脳卒中診療におけるリハビリの流れと目的

患者の生活を支えるためにさまざまな職種がかかわる

 病気やケガによって生じた機能障害を的確に診断し、機能回復や社会復帰を目指して治療計画を立てるのは「リハビリテーション科専門医(以下、リハビリ専門医)」といわれる医師です。社団法人日本リハビリテーション医学会によれば現在、全国に1727人います。同学会では各都道府県別にリハビリ専門医やリハビリ科のある病院のリストを公開しています。

 ただし、その数は十分ではないため、急性期病院の中にはリハビリ専門医がいない病院もあります。各診療科の医師をはじめ、病棟看護師たちの間でもリハビリに対する知識や技術は広まっていますが、リハビリ専門医がいるほうがより的確な診断、より適切な治療や訓練が受けられるといえるでしょう。なかでも脳卒中治療において、リハビリを提供する環境や状況が身体機能の回復などに大きく影響します。

 また、患者の日常生活を支えるために多角的なアプローチが求められるリハビリの分野では、リハビリ専門医や看護師だけでなく、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、医療ソーシャルワーカー、栄養士、介護福祉士など、さまざまな職種の人々が働いています。以下、リハビリを専門とする職種について簡単に説明します。

・理学療法士
 運動療法や物理療法を用いて、日常生活を行う上での基本となる動作(寝返る、起き上がる、立ち上がる、歩くなど)の改善を行うほか、筋力の強化、麻痺の回復、痛みの軽減など運動機能に対する治療サポートも行います。

・作業療法士
 手芸や工作、あるいは日常生活の作業を通して、運動機能の回復を図るとともに精神的な面を含め、社会に適応できる能力の回復をサポートします。

・言語聴覚士
 言語訓練などを通して、音声機能や言語機能、聴覚機能に障害がある人に対して、その機能の維持や向上を支援します。近年は、摂食や嚥下(えんげ:飲み込む)機能に障害がある人に対しても検査やサポートを行っています。

 病気やケガの後遺症を抱えても、できるだけ早く適切なリハビリを受ければ自立した日常生活を送ることができますし、社会復帰することも不可能ではありません。いざというときに慌てないためにも、リハビリテーションの役割と制度を理解し、自分の地域のどの病院にリハビリ科があるのか、あるいはリハビリ専門医がいるのか、普段からリサーチしておきたいものです。

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渡辺千鶴(わたなべ・ちづる)

医療ライター

愛媛県生まれ。京都女子大学卒業。医療系出版社を経て、フリーランスに。医療・看護・介護分野を中心に編集・執筆に携わる。共著に『日本全国病院<実力度>ランキング』『知っておきたい病気の値段のカラクリ』(共に宝島社刊)『がん—命を託せる名医』(世界文化社刊)などがある。東京大学医療政策人材養成講座1期生。現在、総合女性誌『家庭画報』で「希望をつなぐ先端医療」を連載中。

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