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気になる医療・トクする情報(13)
リハビリ制度100%活用術②
回復期リハビリテーション病棟を知っていますか

医療ライター
渡辺千鶴

( 2011/05/30 )

国の新しい制度として集中的にリハビリを行う体制を整備

 私たちは大きな病気やケガをすると、「急性期病院」と呼ばれる大学病院や総合病院などの医療機関で治療を受け、症状が安定すれば退院となります。しかし、中には症状が安定しても病気やケガによる機能障害のために元の生活に戻るのに時間がかかることがあります。例えば、脳血管疾患や脊髄損傷、頭部外傷、大腿骨骨折などの病気やケガになったときです。

 このような病気やケガによって機能障害が生じた場合、できるだけ元の生活に戻れるようにリハビリテーション(以下、リハビリ)の治療が行われるわけですが、生命を助けることが優先される急性期病院では、十分なリハビリを提供する仕組みになっていませんでした。そこで、国の新しい制度として2000年に「回復期リハビリテーション病棟」(以下、回復期リハ病棟)がつくられ、チーム医療による集中的なリハビリを行う体制が整備されるようになりました。

 回復期リハ病棟のタイプには病院の中の1つの病棟として設置されているものと、病院全体が回復期リハ病棟として運営されているものとがあります。「全国回復期リハビリテーション病棟連絡協議会」の調査によると11年3月現在、回復期リハ病棟を有する病院は全国で1088施設、1355病棟、6万144床あります。

 この約6万床の病床数は人口10万人当たり47床に換算でき、創設当初の整備目標(人口10万人当たり50床)に近い数字まで普及しています。しかし、急性期病院の入院期間が短縮される中、回復期リハ病棟の数は十分ではないともいわれています。また、都道府県によって病床数のバラツキが大きいのが実情です。

日常生活動作を改善する観点からチームでリハビリを提供

 回復期リハ病棟では、患者が家庭や社会に復帰することを目指し、集中的にリハビリを提供することを目的としています。そのため、起きる、食べる、歩く、排泄する、入浴するといった日常生活動作(ADL:Activities of Daily Living)を改善する観点からリハビリ科の医師が診断を行い、患者1人ひとりの状態に合わせたリハビリ・プログラム(総合実施計画)が組まれます。

 そして、プログラムに従い、リハビリ訓練室では理学療法士や作業療法士、言語聴覚士による集中的なリハビリが行われ、病室では看護師や介護士が中心となり、リハビリ訓練で回復、あるいは獲得した機能を維持できるよう日常生活のケアや支援が行われます。

 さらに栄養士や薬剤師、義肢装具士、歯科医師、歯科衛生士などの医療スタッフも必要に応じて加わり、患者ができるだけ自立した日常生活を送れるようにサポートします。また、経済的な問題も含め、退院後の生活に対する悩みや不安には、ソーシャルワーカーが医療制度や福祉制度を活用しながら解決を図ります。

 このように患者の生活を支えるために、いろいろな職種が1つのチームを組んでアプローチすることも回復期リハ病棟の大きな特徴の1つです。

回復期リハ病棟に入院できる疾患や期間は限定されている

  表1●回復期リハ病棟に入院できる病気やケガの種類と期間


表1●回復期リハ病棟に入院できる病気やケガの種類と期間

 回復期リハ病棟で行われるリハビリやケア、入院の費用は、一般の病院と同じように公的医療保険が使えるため、患者の自己負担はかかった医療費の1〜3割になります。そのほか食事代や個室を利用した場合には個室代などがかかります。

 一方、回復期リハ病棟に入院できる病気やケガの種類、発症してから入院するまでの日数は限定されています(表1)。つまり、誰でも、いつでも回復期リハ病棟に入院できるわけではないので、利用する際には注意が必要です。

 さらに入院期間(診療報酬で医療費を算定できる上限の日数)も病気ごとに定められています(表1)。しかし、入院する期間は患者の状態や退院後の受け入れ先となる自宅や福祉施設の状況によっても異なるため、実際は担当の医師や医療スタッフと相談しながら退院の時期を決めることになります。



 また、急性期病院から回復期リハ病棟に移るまでの期間は徐々に短くなっており、「全国回復期リハビリテーション病棟連絡協議会」によると09年の統計では、脳血管疾患は平均で36日、整形外科疾患では27日となっています。回復期リハ病棟が少ない地域では、ベッドの空きがないために転院するのが難しいこともあります。病気やケガを発症したら早めに急性期病院のソーシャルワーカーに相談し、回復期リハ病棟を探してもらいましょう。

よりよい回復期リハ病棟を選ぶポイントは?

 「全国回復期リハビリテーション病棟連絡協議会」では、よりよい回復期リハ病棟を選ぶポイントとして(1)リハビリテーション専門医がいること(2)看護・介護スタッフの人数が国が定めた基準よりも多いこと(3)療法士によるリハビリ時間が長いこと(できれば1日3時間のリハビリを実施している施設が理想的)の3つを挙げています。

 診療報酬では、平日と同様に土日祝日もリハビリを提供する病棟を対象に「休日リハビリ加算」を、365日平均して1日6単位(2時間)以上のリハビリを行っている病棟を対象に「充実加算」を設定しています。これらの加算を取得している回復期リハ病棟も、リハビリ訓練に力を入れていることの目安になります。

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渡辺千鶴(わたなべ・ちづる)

医療ライター

愛媛県生まれ。京都女子大学卒業。医療系出版社を経て、フリーランスに。医療・看護・介護分野を中心に編集・執筆に携わる。共著に『日本全国病院<実力度>ランキング』『知っておきたい病気の値段のカラクリ』(共に宝島社刊)『がん—命を託せる名医』(世界文化社刊)などがある。東京大学医療政策人材養成講座1期生。現在、総合女性誌『家庭画報』で「希望をつなぐ先端医療」を連載中。

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