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気になる医療・トクする情報(21)
在宅医療 お金と仕組みの話①
介護費用の負担を軽減する

医療ライター
渡辺千鶴

( 2013/02/25 )

公的介護保険を利用する際に注意したいことは?

 団塊の世代が75歳以上になり、日本の高齢化がピークを迎える2025年に向かって、国は在宅医療の推進に一層力を入れています。その基盤となるのが「公的介護保険制度」です。この制度は、介護を必要とする人を社会全体で支えることを目的に2000年4月から始まり、40歳以上の国民から徴収した社会保険料と税金を財源に、各種の介護サービスを提供しています(図1)。

図1●介護保険制度の仕組み

 この公的介護保険制度を利用するにあたり、まず知っておきたいのが「介護を必要とする人の年齢や条件によって介護サービスが受けられないことがある」という点です。「第一号被保険者」と呼ばれる65歳以上の高齢者は、介護が必要になった原因を問われることはありませんが、「第二号被保険者」と呼ばれる40~64歳の人は、老化が原因となる病気(特定疾病)によって介護が必要になった場合に限られます。現在、公的介護保険の対象となる特定疾患は16種類で(図2)の通りです。

 また、公的介護保険の手続きで留意したいのが、市区町村の担当窓口に申請を行った後、介護の必要度を判定する「要介護認定」を受けなければならないという点です。要介護認定は市区町村ごとに設置された介護認定審査会において決定されますが、この手続きに伴い、自治体から派遣された訪問調査員が自宅にやってきて認定調査(高齢者の心身の状況に関する調査)を行います。前回のコラムにも書きましたが、このとき介護を必要とする人の状態や介護にかかる手間を正しく認識してもらうことが重要になります。認定調査を受ける前にケアマネジャーを見つけて困っていることを相談し、アドバイスをもらうようにしましょう。

図2●介護保険制度で認められている特定疾患

 こうして要介護度(要支援1~2、要介護1~5の7段階)が決まり、自宅での療養を続ける場合はケアマネジャーに介護保険サービスの利用計画書(ケアプラン)を作成してもらうことになります。要介護度ごとに介護保険から給付される上限額(支給限度額)が決められており、介護サービスもそれぞれ利用料が設定されています。基本的には上限額の範囲内で介護サービスを組み合わせ、ケアプランを作成することになります。

公的介護保険の自己負担を軽減できる「高額介護サービス費」

 では、介護サービスを利用したときに、月額どのくらいの費用がかかるのでしょうか。利用者の自己負担額は原則かかった費用の1割で、残りの9割は公的介護保険から給付されます。具体的に示すと(図3)のようになります。たとえば、要介護1は月額1万6530円、要介護2は月額1万9480円です。ただし、これは支給限度額まで介護サービスを利用した場合の金額です。支給限度額を超えて利用した介護サービスの費用は全額自己負担になります。

 1割の負担といっても年金暮らしの場合は家計に重くのしかかってきます。この自己負担額を軽減できる制度がありますので、ぜひ知っておきましょう。それは「高額介護サービス費」といわれるもので、自己負担額が一定の上限を超えた場合、市区町村の窓口に申請すると超えた分の金額が払い戻される仕組みです。

図3●要介護度別の支給限度額(在宅サービスの場合)

 自己負担の上限額は対象者によって3段階に分かれており(図4)、同じ世帯に介護サービスを利用している人が2人以上いる場合は世帯合算となり、計算式は次のとおりです。

(世帯全体の自己負担額-世帯の自己負担の上限額)×(本人の自己負担額/世帯全体の自己負担額)

図4●高額介護サービス費 所得区分別上限額

 市町村民税非課税世帯では、月額2万4600円以上の自己負担額を支払っている人が高額介護サービス費の対象となります。要介護度でいえば「要介護3」以上の人が該当します。重い介護のため、いろいろなサービスを受けている人は、この制度が利用できないかどうかを一度、担当のケアマネジャーに確認してみましょう。また、手続きに関して分からないときは住んでいる地域の地域包括支援センターに相談するとよいでしょう。

 なお、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設(老人保健施設)、介護療養型医療施設、ショートステイなどの食費・居住費、差額ベッド代、日常生活などの費用、住宅改修および福祉用具の購入費で支払った自己負担金は、高額介護サービス費の対象になりません。また、介護サービスを利用してから2年を過ぎると申請できなくなるので、注意してください。

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渡辺千鶴(わたなべ・ちづる)

医療ライター

愛媛県生まれ。京都女子大学卒業。医療系出版社を経て、フリーランスに。医療・看護・介護分野を中心に編集・執筆に携わる。共著に『日本全国病院<実力度>ランキング』『知っておきたい病気の値段のカラクリ』(共に宝島社刊)『がん—命を託せる名医』(世界文化社刊)などがある。東京大学医療政策人材養成講座1期生。現在、総合女性誌『家庭画報』で「希望をつなぐ先端医療」を連載中。

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