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気になる医療・トクする情報(22)
在宅医療 お金と仕組みの話②
医療と介護、両方の負担を軽減する

医療ライター
渡辺千鶴

( 2013/08/27 )

介護にかかる必要な費用を用意している高齢者は約2割

 内閣府から公表された「平成25年(2013年)版高齢社会白書」によると、日本の高齢化率(65歳以上の高齢者の割合)は昨年の23.3%よりさらに上昇し、24.1%になりました(図表1)。また、社会保障給付費(2010年度)は過去最高の水準となり103兆4879億円でした。このうち高齢者関係給付費が占める割合は68.1%で、金額にすると70兆5160億円に上ります。

図表1●高齢化の現状


 高齢者の健康状態をみると、半数近くの人が何らかの自覚症状を訴えており、高齢になるに従い、健康状態が「良い」「まあ良い」とする人の割合は下がってきます。また、65歳以上で介護保険を利用している人(要介護認定者)の数は2010年度末で490万7000人となり、この10年間で約1.7倍に増えています(図表2)。介護を必要とする高齢者は急速に増加しており、中でも75歳以上の後期高齢者の割合が高くなっています。

図表2●65歳以上の要介護度別認定者数の推移


 このように高齢になると、健康状態が悪化し、医療や介護にお金がかかるため、貯蓄する際の目的も「病気や介護の備え」が最も多く、全体の62.3%を占めています(内閣府「高齢者の経済生活に関する意識調査」2011年)。しかしながら、介護が必要になった場合の費用負担に関する意識調査では「必要なだけの貯蓄は用意している」と答えた人は全体の20.3%に過ぎず、残りの人は「年金等の収入でまかなう」「不動産を担保にお金を借りる」「資産を売却してまかなう」「子どもから経済的な援助を受ける」と回答しています(図表3)。高齢者にとって医療費や介護費の両方の負担を軽減することは切実な問題だといってよいでしょう。

図表3●介護が必要になった場合の費用負担に関する意識

医療と介護の自己負担を軽減できる「高額医療・高額介護合算療養費制度」


 そこで、医療サービスや介護サービスを受けることの多い高齢者世帯で、ぜひ利用したいのが「高額医療・高額介護合算療養費制度」です。医療保険では高額療養費制度、介護保険では高額介護サービス費支給制度と、自己負担を軽減する制度がすでにありますが、こうした自己負担をさらに軽減する目的で、2008年4月から始まったのがこの制度です。

 これは同一世帯において1年間(8月1日~翌年7月31日)の医療保険と介護保険における自己負担のうち、算定基準額(図表5)を超えた金額が払い戻される仕組みです。申請は介護保険者(市町村)と医療保険者の両方の窓口で行います(図表4)。

図表4●高額医療・高額介護合算療養費制度の仕組み

 例えば夫婦ともに75歳以上の高齢者(住民税非課税世帯)で、夫が医療サービス、妻が介護サービスを受けていて、それぞれの自己負担が年間30万円ずつかかった場合、医療保険と介護保険における自己負担の合算費の上限額は31万円になるため、この金額を超えた分の29万円が払い戻されます(図表5)。

図表5●高額医療・高額介護合算療養費制度の算定基準額(限度額)

 詳細については、市区町村の担当窓口または、かかりつけの病院の医療ソーシャルワーカーまたは、介護施設の担当ケアマネジャーに確認してください。

 なお、一般(急性期)病院の入院に伴う食費、差額ベッド代、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設(老人保健施設)、介護療養型医療施設、ショートステイなどの食費・居住費、差額ベッド代、日常生活などの費用、住宅改修および福祉用具の購入費で支払った自己負担金は、高額医療・高額介護合算療養費制度の対象になりませんので、気を付けましょう。また、医療サービスや介護サービスを利用してから2年を過ぎると払い戻しの申請ができなくなります。

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渡辺千鶴(わたなべ・ちづる)

医療ライター

愛媛県生まれ。京都女子大学卒業。医療系出版社を経て、フリーランスに。医療・看護・介護分野を中心に編集・執筆に携わる。共著に『日本全国病院<実力度>ランキング』『知っておきたい病気の値段のカラクリ』(共に宝島社刊)『がん—命を託せる名医』(世界文化社刊)などがある。東京大学医療政策人材養成講座1期生。現在、総合女性誌『家庭画報』で「希望をつなぐ先端医療」を連載中。

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