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がんと仕事を考える(3)
治療後の就労面接のノウハウ

一般社団法人CSRプロジェクト代表理事
NPO法人HOPEプロジェクト代表
桜井なおみさん

( 2016/5/25 )

治療が終わったので再就職したい。履歴書、職務経歴書を見た企業から「面接したい」との連絡が入りました。がんを経験した人間として何にどこまで配慮したらいいのでしょうか。前回に引き続き、一般社団法人CSRプロジェクト代表理事の桜井なおみさんにがんサバイバーの就職についてアドバイスを伺いました。今回のテーマは面接のノウハウです。

ポイント

  • 就職を希望する企業の担当者との面接は“あなた自身”を表現する場です。自分の強みをきちんと伝えましょう。
  • 雇用側が聞きたいのは、「志望理由」と「何ができるのか」です。就職活動の基本の「き」になりますので、きちんと整理しておきましょう。
  • がん経験者であること、定期的なフォローアップが必要であることなどを先方に告げる場合、十分に勤務でき、企業に貢献することができるという状況にウエートを置いて説明しましょう。
  • 「がんは再発しないのですか」「前職の退職から今日まで職歴が空白ですが、なぜですか」などの辛い質問にも感情的にならずにきちんとした説明が出来る様に心掛けましょう。またこのように想定される質問については事前に回答を準備し、聞かれたら冷静に答えられるようにしておきましょう。

 がんを経験していてもいなくても、就職にあたって企業の採用担当者との面接は最も重要なステップといえます。履歴書や職務経歴書であなたがどんな人か、おおよそのことは分かります。しかし社風に合うか等は面接してみないとわかりません。あなたの「してきた事」、「できる事」、「やりたい事」など、あなた自身を表現する場でもあります。

 桜井さんは「がんを経験した人は、がんという病名をどのように伝えるかばかり気にしていますが、自分は、その企業が求めている人材像にあっていることを伝えることの方が大切です。がんを経験している、していないに関わらず、面接には準備が大切です。鏡を見ながら練習したり、自分の説明のリハーサルを録音して、後で聴きなおしてみるということは効果があるので、ぜひやってみてほしい」と言います。

企業の採用担当者を前にアピールすべきことは次の5点です。

1) 実務経験や能力
2) 仕事への意欲
3) 適応性
4) 志望動機
5) 自己PR

面接時間は30分から1時間程度を想定します。
自己紹介は5分以内で重複することや、もどったりすることなく説明できるように必ず事前に練習しておきます。

退職理由をどのように説明するか

 次に、退職理由を尋ねられることが多く、このときには一貫して矛盾なく説明できるかどうかがポイントです。なぜならば、一度退職した人の場合、担当者は「採用しても、また辞められてしまうのではないか」という不安を抱いています。この不安を取り除くことが重要です。
がん患者や経験者の場合、病名を伝えることに気持ちが集中する傾向にあります。病気を説明する場合でも、現在は業務を遂行する上で支障がないこと、また再就職の目的は資格取得やスキルアップなどポジティブな気持ちであることなども合わせて説明するようにします。職歴がつながらない(キャリアブランク)がある場合も、「家事手伝いをしていた」「介護をしていた」「治療をしていた」など、状況説明を用意しておきましょう。「治療をしていた」と答えるときは、前述のように仕事には影響がないことを伝えましょう。

志望動機も重要です。大切なことは、その会社で働きたいこと、働く機会があればどのように貢献ができるかを説明することです。

答えにくい質問への対応

 面接の終了間際、企業担当者に「ほかに何か質問はありませんか」と尋ねられて、「何もありません」と消極的な態度を見せるよりも「持病があり3カ月に1回半日ほどのお休みをいただいて、病院に行くことが必要ですが可能でしょうか」などと具体的に質問してみる機会として利用するとよいでしょう。

面接では答え難い質問をされることもあります。例えば「再発しないのですか」と問われることもあります。「そのようなときは黙ったり、感情的になるのではなく、再発を防止するための治療を受けていること、必要であれば診断書を提出いたしますと説明するといいでしょう」と桜井さんは言います。
 担当者はがんサバイバーを雇用することをイメージして確認したい質問ととらえ、前向きに受け止めることが大切です。

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桜井なおみ(さくらい・なおみ)さん

一般社団法人CSRプロジェクト代表理事
NPO法人HOPEプロジェクト代表

1967年生まれ。設計事務所のチーフデザイナーを務めていた37歳のときに乳がんが見つかり、治療のため約8カ月間休職を余儀なくされる。職場に復帰したものの、治療と仕事が困難になり2年後に退職。その経験を活かし、がんサバイバーたちの就労問題を考えるプロジェクト(Cancer Survivor Recruiting Project)を開始した。

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