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横浜市立大学附属
市民総合医療センター(2)

2泊3日の入院で子宮筋腫を切らずに治す

( 2011/02/28 )

 長年、子宮筋腫による過多月経に苦しんでいたA美さん。貧血が悪化したことなどから、横浜市立大学附属市民総合医療センター婦人科で、マイクロ波子宮内膜アブレーション(Microwave Endometrial Ablation:以下MEA)による治療を受けました。子ども2人を持つ主婦であるA美さんにとって、2泊程度の入院で治療を受けられる点も、MEAを選択した理由の一つだったそうです。A美さんが受けた実際のMEA治療をレポートします。

 A美さんは2人の子どもを持つ45歳の専業主婦です。5年ほど前に受けた婦人科健診で子宮筋腫を指摘され、年に1度の経過観察をかかりつけの婦人科クリニックで受けていました。子宮筋腫による過多月経にも悩まされていたため、これまでは、主治医から月経量を減らす効果がある低用量ピルを処方されていました。

 しかし、ここ数年、ピルを服用しているにもかかわらず月経量は減らず、貧血も悪化してきました。子どもの運動会の最中に貧血で倒れたことから、主治医に「手術による子宮全摘を考えたらどうか」と勧められました。

 「閉経してしまえば子宮筋腫も月経過多も、月経過多に伴う貧血も治る」と主治医に言われ、薬物療法を続けていただけに、「手術を考えては」と言われたとき、A美さんは少なからずショックを受けたといいます。しかし、長年悩まされてきた病気でもあることから、主治医からの紹介状を持って、横浜市立大学附属市民総合医療センター婦人科を受診しました。

 外来でA美さんを診察した同婦人科の吉田浩部長からは、「腹腔鏡を用いた子宮全摘術という選択肢のほかに、MEAという子宮を温存する治療の選択肢があります」との説明を受けました。MEAには、子宮を温存したうえで人工的に月経を止めたり、月経量を減らしたりする効果があること、ただし、妊娠を希望される患者さんは治療の対象とならないなどの説明も受けました。

横浜市立大学附属市民総合医療センターでのMEAの適応

 A美さんは既に2人の子どもを持ち、これ以上の妊娠の希望はありません。また、できることなら子宮を温存したいという気持ちが強かったため、MEAによる治療を受けることを決めました。

 

治療そのものは40〜50分で終了、治療後はすぐに普段の生活に戻れる

 いよいよ入院です。同センターでは、MEAによる治療は2泊3日の入院で行われています。

 入院初日には、治療を行いやすいように子宮口を広げる処置を受けました。その処置では、植物繊維からなる簡単な器具を膣内に挿入し、子宮頸部を拡張します。A美さんは、多少の違和感を覚えたものの、痛いとは感じませんでした。

 入院2日目、いよいよ治療が行われます。治療そのものは40〜50分程度で終了です。全身麻酔下で行われるため、A美さんは痛みを感じることもありませんでした。麻酔から目覚めたA美さんは、すぐに歩くこともでき、体への負担の少なさを実感しました。

 しかし、夜になると生理痛に似た痛みが出てきました。あらかじめ、吉田部長より治療後は痛みが生じる可能性があることを聞いていたA美さんは、慌てることなく看護師に痛み止めの薬をもらい、その夜も熟睡することができました。そして翌日、吉田部長の診察を受けたうえでA美さんは無事退院しました。

 「治療後、おりものが何日間か続き、入浴と性交は1週間ほど控えるように指導されましたが、もちろんシャワーはOKですし、運動やアルコールなどの制限もなかったので、すぐに日常生活に戻ることができました」と、退院後のA美さんは満足そうです。

 A美さんは、経過観察のため、治療後1カ月、3カ月、半年、1年のスケジュールで同センターを受診中です。治療によって月経が完全に無くなることも期待しましたが、A美さんの場合、月経は残っています。しかし、月経量が断然少なくなり、さらに貧血も改善してきたそうです。

MEA施術後の経血量の変化 MEA施術後の経血量の変化

施術前の経血量を1としたとき、施術後6カ月と12カ月時点での経血量をアンケートにより集積したもの

 吉田部長は、「MEAでは子宮筋腫そのものは治療しないため、A美さんの子宮筋腫は治療前と同じ状態で残っています。しかし、MEAでは過多月経を緩和し、過多月経を原因としていた貧血が改善されます」と強調します。MEAは、症状改善に主眼を置いた治療法といえます。

 最後にA美さんは、「私の子宮は、いずれ閉経し役割を終えるわけですが、やはり全摘していたら、喪失感は大きかったのではないかと思います。子ども2人を育んだ子宮を温存することができて良かったです」と、すてきな笑顔を見せてくれました。


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